築浅マンション売却で損しないコツは?築浅マンション売却の特徴とポイントを解説
築浅マンションの売却は、一般的な中古マンションの売却と比べて、損をしないための考え方やポイントが異なります。
本記事では、築浅マンションの売却を予定している方に向けて、築浅マンションならではの特徴や、損をしないために押さえておきたい注意点・ポイントについて解説します。
築浅マンション売却のための基礎知識
ここでは、築浅マンションを売却する前に知っておきたい基礎知識について解説します。
築浅マンションの定義は?新築マンションとどう違う?
「築浅マンション」という言葉には、明確な定義はありません。
竣工引き渡し後、日が浅いマンションを指して「築浅」と呼ぶのが一般的であり、築何年までが築浅とされるかについて明確な決まりはありません。
不動産会社によっては、築10年以内の物件を「まだ築浅」と表現するケースもありますが、一般的には、築3年~5年以内の不動産を「築浅住宅」「築浅物件」と呼ぶことが多いようです。
一方で、「新築マンション」や「新築戸建て」という言葉は、
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」によって定義が定められています。
同法では、「新築住宅」とは、
・新たに建設された住宅であること
・建設工事の完了から1年以内であること
・一度も人が住んだことがないこと
これらすべてを満たす住宅とされています。
築浅マンション売却は住宅ローン完済が原則
築浅マンションに限らず、住宅ローンの残債がある住宅を売却する場合は、原則として住宅ローンを一括返済する必要があります。
住宅ローン残債よりもマンションの売却予定金額が高い場合は問題ありません。
しかし、住宅ローン残債よりも売却予定金額が低い場合(オーバーローン)には、マンションを売却しても、売却代金だけで住宅ローン残債を完済することができません。
このような場合には、不足分を自己資金で補填するなどの対応が必要となります。
そのため、築浅マンションの売却を検討する際は、まず不動産会社に査定を依頼し、売却によって住宅ローンを完済できるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。
築浅マンション売却後は損が出ても確定申告すべき
マンションの売却収入から必要経費を差し引いた金額がプラスとなった場合(売却益が生じた場合)は、譲渡所得が発生し、譲渡所得税が課税されるため、確定申告が必須となります。
一方、売却収入から経費を差し引いた金額がマイナスとなった場合(売却損が生じた場合)は、譲渡所得はゼロとなるため、原則として確定申告は必須ではありません。
ただし、「居住用財産の3,000万円特別控除」(特別控除は、期限がありますので、最新の税の情報を確認してください※)などの特例を適用した結果、譲渡所得がゼロとなる場合には、確定申告が必要となります。
また、特例を適用しなかった場合でも、売却したマンションの所有期間が5年を超えている場合には、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除」(※同)を利用することで、給与所得など他の所得から損失分を控除でき、節税につながる可能性があります。
築浅マンションを売却して損失が出た場合でも、「損をしたから確定申告は不要」と判断してしまうと、本来受けられたはずの節税メリットを逃してしまう可能性があります。
事前に、適用可能な特例について不動産会社や税の専門家等に確認し、損をしないように準備しておくことが大切です。
よくある築浅マンションの売却理由と売主に伝えるべきポイント
ここでは、よくある築浅マンションの売却理由と、売却時に売主が意識しておきたいポイントについて解説します。
よくある築浅マンションの売却理由
築浅マンションの売却理由としては、当初は想定していなかった出来事がきっかけになるケースが多く見られます。代表的な例は以下のとおりです。
・転勤・転職など仕事上の都合
予定していなかった急な転勤や転職により、別の地域へ移る必要が生じ、マンションの売却が必要になったケースです。
・住宅ローンの支払いが難しくなった
収入の変化などさまざまな事情により、月々の住宅ローンの支払いが困難となり、マンションを手放す判断に至ることがあります。
・出産・離婚
出産によって生活スペースが手狭になった場合や、離婚によってマンションの売却が必要になるケースもあります。
築浅マンションの売却理由は正直に伝える
中古マンションの購入検討者から、売却理由を質問されることは少なくありません。
特に築浅マンションの場合、「なぜ状態の良いマンションを手放すのか」「何か不具合があるのではないか」と疑問を持たれることもあります。
住宅ローンの延滞や離婚などが理由であっても、物件そのものに問題がなければ、買主が過度に気にするケースは多くありません。
理由を曖昧にしてしまうとかえって不信感を与える可能性があるため、売主としては、ネガティブに感じる理由であっても、率直に伝えることが大切です。
マンションの瑕疵に関しては正確に伝える
瑕疵(かし)とは、不具合や欠陥のことです。マンションの瑕疵は、必要な機能・性能を備えていないことを指します。
もしもマンションに瑕疵があれば、仲介を担当する不動産会社の担当者に、包み隠さずに正確に伝えることが重要です。居住に支障がある瑕疵について、意図的に誤魔化したり嘘をついたりすると、最悪の場合、売却後の売買契約の解除や損害賠償につながる可能性があります。
築浅マンション売却のメリット・デメリット
ここでは、築浅マンションという特徴が、売却においてどのようなメリット・デメリットにつながるのかを解説します。
築浅マンション売却のメリット
・築古のマンションよりも高く売れる可能性が高い
築浅マンションは、新築マンションのトレンドに近く、資産価値が高い傾向があります。そのため、築古のマンションと比べて、高値で売却できる可能性があります。
また近年は、コロナ禍や資材価格の高騰などの影響で新築マンションの供給量が減少していた時期もあり、中古マンション価格が上昇傾向にありました。その結果、エリアによっては、数年前に新築で購入した価格よりも高く売却できた事例も見られます。
・人気が高く、早く売れる傾向がある
新築マンションの供給が限られる中で、築浅マンションは「新築に近い状態で、新築より価格を抑えて購入できる物件」として人気があります。そのため、比較的早期に売却できる傾向があります。
・リフォームの必要がない
築浅マンションは、新築からそれほど年数が経っておらず、設備や内装も比較的新しい状態です。そのため、売却前にリフォームを行う必要がなく、費用負担が発生しにくい点は大きなメリットといえるでしょう。
築浅マンション売却のデメリット
・購入価格よりも売却価格が下回る可能性がある
築浅マンションは高値で売却できる可能性がある一方で、新築時の購入価格を下回るケースも少なくありません。
一般的には、新築時の価格の8〜9割程度で売買されることが多く、購入価格を必ず上回るとは限らない点は注意が必要です。
・新築住宅の10年保証を必ずしも強みにできない
新築住宅には、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」に基づき、基本構造部分について引き渡し後10年間の瑕疵担保責任(保証)が義務付けられています。
ただし、この10年保証は、新築マンションの購入者と分譲主との契約に基づくものです。
築浅マンションで保証期間が残っている場合でも、その保証が当然に次の所有者へ引き継がれるとは限らないため(契約時に確認が必要です)、必ずしも大きな売却上の強みになるとはいえません。
・築浅で売却することに不安を持つ人がいる
購入からあまり年数が経たないうちに売却することで、「何かトラブルがあるのではないか」と懸念を持たれる場合があります。
ただし、実際に物件自体に問題がないのであれば、売却理由をきちんと説明することで解消できるケースが多く、致命的なデメリットになることは少ないでしょう。
築浅マンションを高く売るコツ
ここからは、築浅マンションを高く売却するために押さえておきたいポイントについて解説します。
なるべく早く売却する
マンションに限らず、戸建てやアパートなどの不動産は、築年数が新しいほど高く売れる傾向があります。
これは、経年劣化による資産価値の下落を避けることができないためです。
売却の必要がある場合は、できるだけ早めに売却活動をスタートすることが、高値売却につながりやすいといえるでしょう。
自分で市場相場価格を調査する
不動産会社に査定を依頼する前に、インターネットの不動産ポータルサイトなどを活用し、売却予定のマンションと条件が近い物件の販売価格をチェックしておきましょう。
市場相場を把握しておくことで、
・不動産会社が提示する査定価格の妥当性
・売り出し価格の設定
・値下げ交渉時の判断
などに役立ち、冷静な売却判断がしやすくなります。
信頼できる不動産会社に売却の仲介を依頼する
仲介を依頼する不動産会社は、売却活動全般を担う重要なパートナーとなります。
そのため、マンション売却の実績や経験が豊富で、担当者を信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
不動産会社や担当者によって、販売戦略や対応力には差が出るため、複数社を比較したうえで依頼先を決めるとよいでしょう。
過度な値下げには応じない
売却活動中、想定よりも大きな値下げを求められることもあります。
「この機会を逃すと、次の購入希望者が現れないかもしれない」と不安になり、大幅な値下げに応じてしまうケースも少なくありません。
しかし、築浅マンションは築古マンションと比べて競争力が高い物件です。
現金化を急ぐ特別な事情がない限りは、不動産会社と相談しながら、相場を大きく下回る価格での値下げには慎重に対応することが、高く売るためのコツといえるでしょう。
築浅マンション売却の注意点
ここでは、築浅マンションを売却する際に、特に注意しておきたいポイントについて解説します。
所有期間が5年以下だと売却益にかかる税率が高くなる
所有期間が短い築浅マンションを売却する場合は、譲渡所得にかかる税率に注意が必要です。(下記 税率は26年1月現在)
具体的には、所有期間が5年超の場合は「長期譲渡所得」となり、譲渡所得に対する税率は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。
一方、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、譲渡所得に対する税率は39.63%(所得税30.63%+住民税9%)となります。
このように、所有期間の違いによって税率に大きな差が生じるため、築浅マンションの売却時期は慎重に検討することが大切です。
3000万円の特別控除などの特例を活用して節税を行う
マンション売却時には、3,000万円の特別控除など、譲渡所得税の負担を軽減できる特例を利用できる場合(※同)があります。
これらの特例を活用できるよう、売却前の段階から適用要件を確認しておくことが重要です。
確定申告後に特例の存在を知り、「もっと早く確認しておけばよかった」とならないよう注意しましょう。
築浅マンションなら賃貸より売却が有利なケースも多い
原則として、住宅ローンは自己居住を目的としたローンのため、住宅ローンが残っているマンションは賃貸に出すことができません。
ただし、金融機関によっては、転勤などやむを得ない事情がある場合に限り、賃貸を認めてくれるケースもあります。
その場合でも、賃貸中は経年劣化が進むほか、入居者対応や物件管理にコストや手間、時間がかかります。
さらに、将来的に売却しようとした際、賃貸中のマンションは収益物件として扱われ、売却価格が下がる傾向があります。
築浅マンションは人気が高く、競争力もあるため、高値で早期に売却できる可能性が高い物件です。
売却を視野に入れているのであれば、「とりあえず賃貸」にするよりも、早期の売却を検討したほうが有利なケースが多いといえるでしょう。
まとめ
築浅マンションは、新築に近い状態でありながら、新築よりも価格を抑えて購入できる点から人気があり、比較的売却しやすい物件といえます。
売却理由については、包み隠さず買主に伝えることで、不要な誤解やトラブルの防止につながります。
特に、マンションに瑕疵がある場合は、必ず正確に伝えることが重要です。
また、築浅マンションの市場価値を考えると、相場を大きく下回る値引きに無理に応じる必要はありません。
築浅マンションの売却で損をしないためには、自ら市場相場を調べたうえで、信頼できる不動産会社に仲介を依頼することが大切です。
氏
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティングなどを行うかたわら、同分野の連載を月15本、テレビ、ラジオのレギュラー番組への出演 多数。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数。
HP
https://www.yoshizakiseiji.com/
著書
間違いだらけの住まい選び
「不動産サイクル理論」で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術
データで読み解く賃貸住宅経営の極意
大激変 2020年の住宅・不動産市場
「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人
など全12冊、他連載多数
