マンションの住み替えで失敗しないために|よくある失敗例と対策を解説

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マンションの住み替えは「売却」と「購入」を同時期に進める必要があるため、思わぬトラブルや失敗が起こりやすいのが実情です。

本記事では、これから住み替えを検討している方に向けて、よくある失敗例とその原因、そして失敗を避けるための具体的な対策を分かりやすく解説します。

 

マンションの住み替えでよくある失敗例

スケジュール通りに進まない

住み替えでは、「今の家を売却すること」と「新しい家を購入すること」を同時並行で進めるケースが多いです。

しかし、不動産売買には必ず相手方(売主・買主)が存在するため、こちらの都合だけでスケジュールを組むことはできません。

 

たとえば、

  • 買主が見つかっても住宅ローン審査に時間がかかる
  • 引き渡し日が相手の希望と合わない
  • 価格交渉が長引く

 

といった理由で、予定していたスケジュール通りに進まないケースがよくあります。結果として、仮住まい探しや余分な引っ越し費用が発生することもあります。

 

売却価格が想定より低くなる

「思ったより安くしか売れなかった」というのは非常に多い失敗です。

マンションの価格には市場相場がありますが、必ずしも相場通りに売れるとは限りません。

 

特に「買い先行」で新居を購入した後に売却に入る場合は注意が必要です。

この場合、新居の住宅ローンと元のマイホームの住宅ローンを同時に返済する「ダブルローン」の状態になる可能性があります。

 

ダブルローンが続くと、毎月の返済額が一気に増えて家計を圧迫します。たとえば、

  • 新居のローン返済:12万円
  • 元のマイホームのローン返済:10万円

この場合、合計22万円の返済が同時に発生することになります。

 

返済負担に耐えられず、「とにかく早く売らなければ」と焦ってしまい、結果的に値下げして売却してしまうケースが多いのです。

下記のような売り先行・買い先行のメリット・デメリットを踏まえて、自分に合った計画を立てましょう。

 

  • 売り先行のメリット
    売り先行は売却が成立してから購入に移るため、新居購入のために使える資金が明確になっている、焦らず売却活動できる、といったメリットがあります。
  • 売り先行のデメリット
    引き渡しまでに新居が決まらなければ、2度の引っ越し費用と仮住まいの賃貸費用が発生するといったデメリットがあります。
  • 買い先行のメリット
    買い先行は、欲しい物件を時間をかけて選ぶことができる点がメリットといえます。購入後に売却という流れなので、同時進行ではくやることがシンプルです。
  • 買い先行のデメリット
    元のマイホームが売却されるまで2つの住宅ローン(ダブルローン)の状態になり毎月の支払い負担が大きくなるのが最大のデメリットといえます。住み替えローンの場合は金利が高く審査が厳しくなること場合もあります。

 

住宅ローンの問題が発生する

住み替えでは、自分も買主も住宅ローンを利用するケースが大半です。

そのため、どちらかのローン審査が通らないというリスクがあります。

 

  • 自分が新居購入のローン審査に落ちる
  • 買主がローン審査に落ちて契約が白紙になる

 

特に後者は深刻で、買主のローン審査に時間がかかると、その間売却活動が止まり、計画全体に大きな遅れが出てしまいます。また、買主のローン審査が通らなければ、新たな買主を探す必要があります。

 

マンションの住み替えで失敗する原因

住み替えに関する基本知識が不足していた

住み替えには「売り先行」と「買い先行」の2パターンがあります。

 

  • 売り先行:売却してから新居を探す → 資金計画が立てやすい
  • 買い先行:新居を先に購入する → 希望物件をじっくり探せる

 

どちらにもメリットとデメリットがあるため、違いを理解せずに進めると「想定外の資金不足」「引っ越し時期のズレ」などにつながります。

 

計画を立てずに動き始めてしまった

住み替えは3カ月で終わることもあれば、1年以上かかることもある“長期戦”です。

計画なしに行き当たりばったりで進めてしまうと…

 

  • 売却が長引き、ダブルローンの負担が増える
  • 新居の入居が間に合わず、仮住まいの賃貸を探す羽目になる
  • 引っ越し代やリフォーム代など、想定外の出費が積み重なる

 

といった事態が起こります。

 

不動産会社選びに失敗した

マンションの住み替えでは、売却も購入も不動産会社に依頼するのが一般的です。

しかし、仲介会社によって「得意・不得意」や「対応力」に大きな差があります。

 

たとえば、

  • マンション売買の実績が少なく、相場観がズレている
  • 査定額の根拠を明確に示さない
  • 質問への回答が遅い、または的確でない

 

こうした会社に依頼すると、結果的に希望条件を満たせないまま売却や購入が進んでしまいます。

 

住み替えで失敗しないための対策

売り先行か買い先行かを決め、計画を立てる

まずは「どちらの進め方が自分に合っているか」を見極めましょう。

 

  • 売り先行 → 資金が明確になるので安心。ただし仮住まいのリスクあり
  • 買い先行 → 希望物件を逃しにくい。ただしダブルローンのリスクあり

 

それぞれの特徴を把握した上で、自分のライフプランや資金状況に合った方法を選ぶことが大切です。

 

信頼できる不動産会社を選ぶ

会社選びでは次のポイントをチェックしましょう。

 

  • 査定額の根拠をきちんと説明してくれるか
  • 質問に対する対応が迅速かつ的確か
  • 住み替え事情を理解し、柔軟な提案をしてくれるか

 

売却と購入を同じ会社に依頼すると、スケジュール調整がしやすくなる場合も多いです。

 

値引き・買取なども視野に入れ、対応を柔軟にする

マンションの売却・購入は相手方がいることから、全てこちらの理想通りには進みません。売却時には相手方からの値引き要求があることが一般的です。

ローン残債を踏まえて、あらかじめどのくらいの値引きまでなら対応できるのかを計算しておく必要があります。

 

また、買い先行で新居を購入後、長期間にわたって元のマイホームを売却できない事態が起こる可能性もあります。当初の査定価格にこだわって長く売却できない状態を招くよりは、状況に応じて業者による買取を検討するなど、柔軟な対応を心掛けましょう。

 

まとめ

本記事で解説した通り、マンションの住み替えでは「売却」と「購入」の両方を理解し、計画的に進めることが重要です。

そのうえで、売り先行か買い先行かを選び、自分の状況に合った計画を立てましょう。

あとは信頼できる不動産会社と組めば、住み替えはぐっとスムーズになります。

記事監修
吉崎 誠二

社団法人住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティングなどを行うかたわら、同分野の連載を月15本、テレビ、ラジオのレギュラー番組への出演  多数。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数。

 

HP
https://www.yoshizakiseiji.com/

 

著書
間違いだらけの住まい選び
「不動産サイクル理論」で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術
データで読み解く賃貸住宅経営の極意
大激変 2020年の住宅・不動産市場
「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人
など全12冊、他連載多数

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