マンションの住み替えタイミングの決め方は?おすすめのタイミングと損しないためのコツを紹介

マンションの住み替えは、ベストなタイミングを見極めることも成功の秘訣の1つです。
この記事では、住み替えを検討している方向けに、
- よくある住み替えのきっかけ
- おすすめのタイミング
- 売り買いの順番や注意点
についてわかりやすく解説します。
マンションの住み替えでよくあるタイミング例
住み替えを考える理由は人それぞれです。ライフステージや働き方、家族構成の変化などによって、最適な住まいの選び方も変わります。ここでは、住み替えを検討する代表的なきっかけを紹介します。
子育て中、子育て後
子育て中のご家庭では、子どもの成長に合わせて住み替えを決断するケースが多くあります。
- 子ども部屋が必要になり、より広い居住空間を求める
- 公園や学校が近いなど、子育てしやすい環境のあるエリアへ引っ越したい
- 子供が増える
こうした理由から、家族のライフスタイルに合わせて住み替えを検討する方が増えています。
一方で、子どもが独立した後の住み替えも少なくありません。
子育てが終わると、これまで必要だった子ども部屋や広いリビングが不要になるため、次のような住まいを選ぶケースが多いです。
- 管理がしやすいコンパクトな間取り
- 駅や商業施設が近い利便性の高いエリア
- 将来の生活を見据えたバリアフリー住宅
このように、子育て中と子育て後では住み替えの目的や住環境の条件が大きく異なるため、家族構成に合わせた住まい選びが大切です。
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転勤、転職など仕事上の都合
仕事上の理由で住み替えを決断するケースも多く見られます。
- 転勤:新しい勤務地が決まり元の地域に戻る見込みがない場合、所有しているマンションを賃貸に出すよりも売却して住み替える選択をするケースがあります。
- 転職:勤務地や働き方の変化に合わせて、通勤しやすいエリアや在宅ワークに適した住環境を求めて住み替える人も増えています。
働き方が多様化する中で、仕事上の変化が住み替えを検討する大きなきっかけになっています。
その他、Uターン、移住、リモートワーク、両親の介護など
子育てや仕事以外にも、ライフスタイルの変化をきっかけに住み替えを決断する人も増えています。
- Uターン:地元に戻って生活基盤を築きたい
- 地方移住:自然豊かな環境でゆったり暮らしたい
- リモートワーク:働き方の自由度が高まり、住む場所に縛られなくなった
- 両親の介護:家族をサポートするため、実家の近くへ引っ越したい
このように、住み替えのタイミングは人それぞれですが、いずれもライフスタイルの変化が大きなきっかけとなっています。
マンションの住み替えはタイミング次第で大きく変わる
マンションの住み替えは、多くの場合、ライフスタイルの変化がきっかけです。
子育て・転勤・リモートワークなど状況の変化によって、住み替えの必要性が生じるケースは少なくありません。基本的には個人の都合に合わせて住み替えて問題ありませんが、もしタイミングを調整できる余地があるなら、より有利な時期を選ぶのがおすすめです。
ここでは、マンションの住み替えで知っておきたい4つのおすすめタイミングを解説します。
① 不動産価格が上昇トレンドのとき
マンションの住み替えでは、高く売却できるかどうかが非常に重要です。
国土交通省が発表する「不動産価格指数」によると、2013年以降、2025年現在までマンション価格は一貫して上昇傾向にあります。
不動産市場が上昇トレンドの時期は、マンション売却に有利なタイミングといえるでしょう。
ただし、この上昇傾向がいつまで続くかは予測が難しいため、不動産市況をこまめにチェックすることが大切です。
② 住宅ローン金利が低いとき
住宅ローン金利が低い時期は、住み替えに適したタイミングです。
- 新居購入時 → 低金利で借入負担を抑えられる
- 売却時 → 買主が住宅ローンを組みやすく、売却しやすい
現在の日本は低金利が続いていますが、物価上昇などの影響で今後金利が上昇する可能性もあるため、低金利のうちに動き出すのがおすすめです。
③ 修繕積立金が値上がりする前
マンションでは、大規模修繕後に修繕積立金が値上がりするケースがあります。
築年数の経過に伴い修繕箇所が増えるため、長期的に負担が大きくなりやすいのです。
- 値上がり前に売却すれば、毎月の負担増を回避できる
- 購入希望者にとっても積立金が低いほうが魅力的で、売却しやすい
修繕積立金の改定時期は、管理組合の資料や長期修繕計画で確認可能です。
値上げ前は、住み替えを検討する一つのタイミングといえるでしょう。
④ マンション保有期間が5年以上経過したとき
不動産を売却するときは、所有期間によって譲渡益の税率が変わります。
・所有5年以下 → 短期譲渡所得:税率39.63%
・所有5年超 → 長期譲渡所得:税率20.315%
所有期間が5年を超えると、税率が半分程度になるため、税制面で有利です。
ただし、マイホームを売却する場合は3,000万円の特別控除が適用できるケースもあるため、保有年数に関わらず節税のチャンスがあります。
(税制度は、変更される可能性があります。必ず、最新の情報を入手してください。)
マンションの住み替えでタイミング以外に注意したいポイント
ここまでは、住み替えのおすすめタイミングについて解説しました。
ここからは、タイミング以外で住み替え時に注意しておきたいポイントを紹介します。
住み替えをスムーズに進めるためには、売買方法・計画・物件選びの3つを押さえておくことが大切です。
① 売り先行か買い先行かを慎重に判断する
マンション住み替えで最初に考えるべきなのは、「売り先行」か「買い先行」かをどうするかです。
<売り先行(先に売却する場合)>
メリット
- 売却資金が確定してから新居を購入できるので、資金計画が立てやすい
- 元のマイホームの住宅ローンを完済できるため、通常の住宅ローンを利用しやすい
デメリット
- 新居購入までの間、一時的に賃貸などの仮住まいが必要になる
<買い先行(先に購入する場合)>
メリット
- 新居をじっくり探せるため、理想の物件に出会いやすい
デメリット
- 元のマイホームと新居で二重ローン(ダブルローン)になる可能性がある
- ダブルローンを避けるため、売り急いで相場より安く手放すリスクがある
<おすすめは売り先行>
リスクを避けるためには、売り先行で進めるのが基本です。
ただし、売却と購入の決済・引き渡しを同時に行う「売り買い並行」ができれば、仮住まいが不要になり理想的です。
しかし、新居の売主・元マイホームの買主のスケジュールを調整する必要があるため、現実的には難しいケースが多いといえるでしょう。
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▶︎マンション住み替えにはどんな費用がかかる?
② 余裕を持った住み替え計画を立てる
マンション住み替えは、早くても3カ月、長ければ1年程度かかることもあります。
理由は次の通りです。
- 売却と購入、それぞれの相手(買主・売主)がいる
- 金融機関の住宅ローン審査や価格交渉に時間がかかる
- 決済や引き渡し時期が相手の都合で遅れる場合もある
そのため、「思い通りに進まない」ことを前提にしたスケジュールを立てることが重要です。
不測の事態にも対応できるよう、余裕を持った計画を心がけましょう。
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③ 購入する物件は価格だけで選ばない
特に中古マンションへの住み替えでは、価格だけで判断しないことが大切です。
- 築年数の古い物件は購入価格が安い反面、耐震性や修繕コストのリスクが高い
- 入居後にリフォームが必要となり、当初の予定より大幅にコストが膨らむケースもある
購入前に必ず以下をチェックしましょう。
- 長期修繕計画
- 直近の修繕履歴
- 必要なリフォーム費用の見積もり
販売価格だけで判断せず、修繕費やリフォーム費を含めた実際に必要となる費用全体で比較するのがおすすめです。
まとめ
マンションの住み替えは、ライフスタイルの変化がきっかけとなるケースが多いです。
住み替えのタイミングを考えるときは、家族の状況や将来の暮らし方を最優先にしつつ、不動産市況や金利状況などの外部環境もあわせて判断することが大切です。
さらに、売り先行か買い先行かを決め、余裕を持った計画を立てることで、スムーズで失敗のない住み替えが実現しやすくなります。
本記事が、住み替えのタイミングを考える際のヒントとなれば幸いです。

氏
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティングなどを行うかたわら、同分野の連載を月15本、テレビ、ラジオのレギュラー番組への出演 多数。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数。
HP
https://www.yoshizakiseiji.com/
著書
間違いだらけの住まい選び
「不動産サイクル理論」で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術
データで読み解く賃貸住宅経営の極意
大激変 2020年の住宅・不動産市場
「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人
など全12冊、他連載多数